当たり前のように毎日飲んでいる、この日本茶。
家族が買っておいてくれたり、
試飲して自分の納得のいく日本茶や、ギフトでもらった高級緑茶を大事に取っておいたり、
キッチンで「お茶がない!」と慌てることって日本では滅多にありません。
いつもあるからこそ、意外と知られていないのが「日本茶の作り方」
実は、コーヒーやワインと同じように、
茶農家からいくつかの工程を経て、様々な日本茶へと製茶されています。
今回は、摘みたての生葉を茶葉にする工程、18世紀初頭からの伝統的な
「手揉みで作るお茶の工程」を紹介します。
■ 伝統的な手揉み茶製法
1. 蒸熱(蒸す)
まずは、摘み取った茶の生葉を蒸気の熱を利用し、
酵素の働きを止めます。
蒸熱は、特に3種の煎茶作りにとても重要な工程です。
2. 葉振るい
葉の水分を無くすための第一工程。
「両手で持ち上げては振り落とす」を繰り返し、
重さが約30%減るまで20分〜30分続けます。
Trivia! この作業は助炭(じょたん)という木枠に丈夫な和紙を張ったお盆(tray)を焙炉に乗せて下から熱しているので、茶葉は温かい状態 |
3. 回転揉み
茶葉を左右に大きく転がしながら、葉の水分を揉み出していきます。
手先で転がすのではなく、
焙炉の熱と全身の体重をうまく使い蒸発させ、
40分〜50分かけてひとまとめにしていきます。
4. 玉解き
3に回転揉みでひとまとめにしましたが、
ここからは、茶葉の形や光沢を出す工程に入るため、まとめた茶葉を解します。
助炭からカゴに広げて冷ましながら、茶葉1本ずつを丁寧に広げていきます。
5. 揉み切り(中揉み)
いよいよ仕上げの揉み作業です。
助炭に茶葉を戻し、両手で茶葉を挟んで前後に擦り合わせながら、約60分何度も繰り返して茶葉を細長くします。
6. 転繰揉み(でんぐり揉み)
助炭の中央に茶葉を集めて、茶の向きを整えながら両手で上下に挟み込み、茶葉同士を回転させながら、
約30分かけて針状に伸ばしていきます。
7. こくり
針のように細くなってきたら、光沢を出す工程です。
再度、茶葉の向きを整え、両手で強く握りしめて交互に屈伸させ茶葉を回転させながら、
強く揉みます。(まるで手ごねパンを作るような作業です)
90分程、この作業を行うことで茶葉の形が整い、美しい光沢が出てきたら完成。
8. 乾燥
最後は60度ほどに温まっている助炭の上に茶葉を薄く広げ、乾かします。
この日本茶が出来上がるまでの8つの工程は、今はほとんど機械化されていますが、
現在も僅かながら、ご紹介した伝統的な工程で日本茶を作っている茶農家のみなさんが、
これからも熟練した茶作りの技を次世代へと受け継がれていくことを、強く願います。
機械仕上げと手揉み仕上げでは、見た目も味も違いを感じ取れるのは間違いないでしょう。
希少な「手揉み茶」が、
手に入った時は2つの工程で作られたお茶を是非、飲み比べてください。